着物選びは縁を大切に


「いと善サイト→失敗しない着物選び」に掲載した内容です
「きものはご縁もの」
 一般に着物は高額ですし、TPOやコーディネイトなど分かりにくいことも多いものですから、 購入時には大変迷われることと思います。また、昨今の着物ブームで様々な着物本が出版されていたり、インターネットで 膨大な情報を得られるので、イメージや知識が先行してなかなか購入する着物を選べない方が増えているように感じます。 ”色んな店を廻ってたくさん商品を見て、悩んで悩んで 本当に気に入ったものを購入する”という感じですね。 特に40歳代以下の方にその傾向が多く見られますが、私自身そういう 傾向があるので、 その気持ちはよ~く分かります。もちろん悪いことではありませんよ。こだわりは大切ですし、売り手の口車に乗せられない為の知識も必要です。 しかし着物についてこだわりが強すぎて、逆にあまり良い買い物をされてないのでは、と感じることが呉服屋の目から見てよくあるのです。  
 「着物選びは結婚相手を見つけるのと似ている」といつも思うのですが、デザイン・ 品質・価格が全くイメージ通りの 品物にはそう出会えるものではありません。理想を追い求め過ぎると、自分にとって本当に良いものを見逃してしまうことが多々あります。 ある着物に出会って何かイメージとは違う部分があっても 自分の感性に響くものがあれば、その出会いを大切にして頂きたいのです。そういう着物は愛用しているうちに、自分と解け合って愛着が深まってくるものではないでしょうか。着物は人生と共にあります。  
 そして、「お客様と呉服屋との出会いもご縁」だと思います。着物はモノと値段の価値だけではありません。「あのお店のあの人が私に合わせてくれた着物だから長く安心して着ることができる」という関係を築いていただくことが大切です。売り手の言いなりになるのではなく、信頼できるプロを見つけて下さい。頭が古いと思われるかもしれませんが、どんなに技術や流通システムが発達した社会になっても、人と人との関係なくして良い着物との出会いはありません。  
 そういう意味で呉服屋の責任は大きいと思います。実力もないのに「信頼して!」なんて言えませんからね。お客様の人生と共にある着物のお世話をさせて頂くわけですから、それに値する呉服屋にならないといけないと思っています。知識も必要ですが、人間を磨かないといけませんね。

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