琉球紅型 〜沖縄染め織り紀行〜
●いと善展示会「全国染め織り展」 11月25日(金)〜27日(日)
5月の沖縄染織り研修では「知念紅型研究所」に伺いました。
知念家は琉球王朝時代から続く紅型三宗家の一つ。工房ではデザイン、型彫り、糊置き、呉引き、色挿し、隈取り、蒸し、水元など一貫して行っています。白生地を板に置いて型紙を送りながら防染糊を置きます。伸子に張って防染糊が付いてない部分に色を挿します。紅型は染料ではなく顔料で模様を色挿しします(地色は染料で引き染め)。水溶性の染料は生地に浸透するので、ぼかし表現が容易ですが、顔料(鉱物を砕いてつくる顔料は粒子が粗い)は生地に付着する感じで浸透しにくいため、色挿し工程の後に更に顔料を置いて筆でぼかす「隈取り」をします。 顔料は呉汁(豆汁・ごじる)で解くので、腐らないように1日で使い切るそうです。色挿しも隈取りもそれぞれ2本の筆を持って作業しています。「つけ筆」で顔料を置き、もう一方の「すり筆」で摺り込みます。筆には人の髪が使われています。
下儀保知念家10代目・知念冬馬さんは幼少期より祖父・知念貞男氏(8代目)の仕事を見て育ったそうです。二十歳くらいで商業デザインの仕事に従事されていましたが、後に残るもの作りをしたいと言う思いもあり、沖縄に戻り工房を引き継がれたとのこと。
知念紅型研究所では先々まで受注が入ってて、とてもお忙しくされているようでしたが、私たちの質問にも丁寧に答えてくださり非常に誠実さが伝わりました。また、工房の紅型をきちんと評価して適正な価格で流通させて欲しいと言う思いを語られました。私もしっかり受け止めてユーザー様との橋渡しをさせて頂きたいと思います。