結城紬の里紀行2023 ③湯通し(奥順・自社工房)

 結城紬は経糸(たていと)緯糸(よこいと)とも真綿つむぎ糸を使うため、糸を糊付けして織ります。布海苔(ふのり)では弱いので「小麦粉糊」を使うが特徴。商品として流通する段階では糊が付いたままなので、生地に硬さが残ります。仕立てる前に初めて「湯通し」をしますが、かつてはお湯のみの湯通しだった為、糊はあまり落ちませんでした。「大店(おおだな)の旦那が結城紬を着る前に丁稚に着させて柔らかくさせた」なんて話があるそうです。また、砧打ち(きぬたうち)をして繊維を潰して柔らかくしていました。

 数十年前に酵素で小麦粉糊のデンプン質を分解する技術ができてからは、湯通しによって最初からふんわり柔らかな着心地を味わえるようになりました。砧打ちする必要はありません。
 結城紬の老舗「奥順」さんでは自社で湯通し工房を持ち、独自のノウハウで湯通しを行っています。湯通し代は少々掛かりますが、格段に着心地が良くなります(店主も実感🤗)。

天日干しは午前中のみ。色やけしない程度に行われます。
最後にテンターで蒸気を当てながら幅を整え、ふんわり仕上げされます。

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