みちのく織物紀行②「よねざわ織 新田」
紅花紬で有名な新田さんの工房を訪問。
当代の新田源太郎氏より置賜紬の歴史、産地全体のお話や紅花染めの実演を交えた織物のお話を伺いました。
置賜紬(米沢、長井、白鷹)の織元同士は情報共有し合いながら共に高め合っていて、何十件もの織元が集積する一大産地として機能しているそうです。しかも他社のマネをするのではなく、それぞれが独自の織物組織や素材、デザイン表現を創造し続けています。
新田家は関ヶ原合戦後、上杉景勝に従って越後から米沢に移り住んだ武士の家系で、機屋としては1884創業。最初は袴地が中心で「米沢袴地といえば新田」とまで言われるようになりました。今でも見事な織りの袴を織られています。
新田さんと言えば紅花染めですが、米沢で紅花染めを始めたのが新田さんの祖父と祖母で、それまでは機織りに特化してたようですが、紅をきっかけに染色を始め、更に様々な染料を染めるようになったとか。意外にも商品に「紅花染め」をうたっている訳ではないそうですが、データを残しているので、流通している商品を確認すれば、紅をはじめどのような染料を使っているかは分かるそうです。
紅花染めの実演も見せて頂きました。黄色い紅花を水に浸け揉んで水が透明になるまで黄色い色素を抜きます。数日自然発酵させると赤くなります。これを平たい餅状に丸めたのが「紅餅」。この「紅餅」から藁灰(灰汁・アルカリ)で赤い色素を抽出し、染液に烏梅(うばい・梅の燻製)の酸を加えると布が鮮やかな紅色に染まります。
ちなみに、水で抽出した黄色い色素も黄色の染料になりますが、色が安定しないそうです。
おもしろかったのは、「酸は烏梅(うばい)じゃないとダメなんですか?」と質問してみたところ、他のクエン酸や米酢などでも綺麗に発色するとのこと。梅の燻製を使うのは保存が効くから。奈良・月ヶ瀬(つきがせ)の烏梅を使い、古法を守る意味合いが強いようです。現場に行かないと分からない知識ですね☺︎。
新田さんの工房は規模が大きく、手織り機はもちろん、自動織機も多数並んでいました。お屋敷もかなり立派なものです。昔は大阪など遠くから買い継ぎ問屋が織物を発注しに来るわけですが、お屋敷でお酒や料理でもてなして、たくさん注文をもらっていたそうです・・・なんとも豪快な商売!・・・。
最後に反物が並べられている部屋へ。着物、帯、袴など、草木染めをはじめとした色糸の組み合わせが見事!しかも風合いがとっても良いんです!!!
ますます新田さんの紬が好きになりました。少しずつ仕入れて、皆さんにご紹介していきたいと思います。