福岡の織物紀行②「久留米絣」
久留米絣 「山藍」 では重要無形文化財の3要件を満たす絣を織っています。
四代目・山村省二氏のお弟子さんである柿原真木子さんから各工程について詳しく説明して頂きました。

[3要件]
一、手括りによる絣糸を使用すること
二、純正天然藍で染めること
三、投げ杼(なげひ)の手織織機で織ること
3要件それぞれに職人の資格認定があり、全工程それぞれ認定された職人が行わなければ重要無形文化財の証紙は貼ることができません。山藍四代目・山村さんと、柿原さんは3要件全ての有資格者です。久留米絣には厳しい審査があって、染めムラがあったりすると作り直しになるのだとか。厳しいです!また、デザインも品格が求められ審査があるとのこと。職人さんの自由と言うわけではなさそうです。
[絵糸書き] 絵台を使って下にデザイン紙を敷き、図案を種糸に移し取る 絵台の幅は反物幅と同じ。
下の画像は緯糸(よこいと)

下の画像は経糸(たていと)

[絣括り」 種糸と糸(緯糸であれば60本くらい)と揃えて括る

括り糸は基本的に粗苧(あらそ・麻)を使います。粗苧が一番括りやすいとのこと。セルロースが入っているので水を弾く。濡れると柔らかくなって乾くと縮む性質があるので濡らして括ります。
粗苧は昔はいくらでも採れたから低コストでした(今は勝手に栽培できません)。

[藍染め]濃い藍色にするは40〜50回くらい染める(潜らせる回数のこと)。
模様の濃淡は染める回数で表現します。例えば水色にしたい部分は残り5〜6回くらいのところで一旦止めて、括りを解いて染めると水色に染まります。水色にしたい部分は分かりやすいように赤い糸などで括るそうです。

[藍瓶] 瓶の表面は空気に触れているから青く見えていますが、中は赤茶色。
久留米絣の藍染では深い瓶を使います。下には泥みたいな葉っぱのカスが澱(おり)として下に沈んでいるので、糸が当たると汚れてしまいます。綿は糸が太くしかも絣糸もあってかさばります。綛(かせ)を長くして手繰らないと絞りにくいので深い瓶を使います。
瓶は4つセットで四角に並べて埋めてあって、真ん中に火を入れて温める装置があります。冷え過ぎてバクテリアの活動が休眠してしまうと再び起こすのが大変なのだとか。寒い季節に冷やし過ぎないようにカイロを抱かせている感じ。

昔は地元でも蒅(すくも)が作られていましたが、今は徳島から取り寄せます。蒅(すくも)は何年置いても発酵させて使えるそうです。

手織り


