広島・京都文化フォーラム「21世紀の和風を求めて」について

広島・京都文化フォーラム 「21世紀の和風を求めて」
 昨年12月22日中国新聞ホールで開催されたフォーラムに行ってきました。上田宗箇流家元:上田宗冏氏、京都工芸繊維大学名誉教授:中村昌生氏(茶室や数寄屋建築研究の第一人者)、池坊次期家元:池坊由紀氏 のパネルディスカッションがあり、これからの日本文化と暮らしについて中身の濃いお話を伺うことができました。内容を私なりにまとめてみました。
●上田宗冏氏(うえだそうけい):日常の生活では緊張を強いられるが、茶室に入った時に心が定まる、自分を取り戻せる。茶の湯も生け花も他を生かし合う精神が根底にあり、茶室に入って一番実感するのは今生きている花、客、自分です。
日本の暮らしは戦後便利で簡素な方向へ向かいました。しかし楽だが美しくはない
日常の中に静なる空間を作ってほしい。
●中村昌生氏(なかむらまさお):茶室は思想を語る建築。世界でも稀な建築です。その日おもてなしする客の為に奔走するのが茶の湯。かつて茶の湯は和と外来の境を作らなかった。今は和洋の対比ですが、何もかも日本古来のモノに固執する必要はない。あくまでも精神の問題。
 例えば中村氏が携わった京都迎賓館の屋根材はニッケルステンレス複合板(瓦屋根よりも軽く銅板より耐久性が高い)を使用しています。その時代の素晴らしい素材を使いながらも和の精神性を伝えていくことが大切。
●池坊由紀氏(いけのぼうゆき):生け花とは互いに生かし合う心。挿し花やフラワーアレンジメントとはまた違うもの。原点は十五世紀の座敷飾りにあり、掛軸、唐物、工芸品という他を尊重し互いに調和をはかりながら一つの空間を構成するものです。生かし合う心があれば、洋風の器や花を使っても、それは日本の生け花、つまり「和風」なんです。
 それぞれのお話は今までにも多くの方が語られ、ある意味当たり前のようにも感じるかも知れませんが、私の心にはじわじわと響いてきました。お茶を出す、いただく、という単純な行為がどうしてこれほど日本の精神文化として受け継がれて来たのか、私は正直言って不思議な感覚も持っていましたが、単純に考えてみると普段お抹茶に限らず、緑茶、コーヒー、紅茶を頂くときは気持ちがほっとしますよね。それが、色んなストレスをかかえている日常の中で、誰かがタイミングよくお茶を差し出してくれた時は本当に嬉しいものです。ほんのひと時のことなのですが。 こういう相手の気持ちを思いやる心一つ一つを形にして極めていったのが、茶道や生花なのかも知れないと感じました。
 とは言え、どんな良いことを言っても「わかっちゃいるけど・・・」というのが人の常。私にはとても遠い境地なのですが、今回のお話を心に留めおきながら日々熟成させていきたいものです。
 
私たちのこれからの方向性が少し見えてきた気がします。
参考資料:中国新聞 平成19年12月30日の特集

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