白州正子 著 きもの美
白州正子 著 きもの美〜選ぶ眼着る心〜(光文社知恵の森文庫)を読んでいます。
1962年に出版された「きものの美」が今年1月に復刻されたものです。
白州正子:1910年(明治43年)生〜1998年(平成10年)没 着物好きが嵩じて染織り工芸の店「こうげい」をされていた方で、随筆家として今でも大変多くの方に愛されています。先日地元の書店でも白州正子コーナーを見かけましたが、とても注目されている様ですね。当店のお客様や知合いの方にも「私、白州正子の随筆が好きなんです」と言う方が結構おられます。
本の感想: 「これって最近書かれた本だっけ?」と読みながら錯覚してしまう程共感できます。1962年と言えば46年前、呉服屋の観点からみて「呉服業界ってこの頃から同じ事を繰り返しているんだな」と感じました。戦後の洋装化で呉服業界の置かれている今の様な状況はその頃すでに始まっていて、とても今と似ているということと、現代の私も理想と現実のギャップに悩まされながら、未来の呉服屋像を模索しているつもりですが、この頃からとっくにその様な未来志向と着物への愛情をもって商いを形にされている方がいらっしゃったことに驚きました。白州正子さんと言えば、雲の上の方のような存在ですから大変おこがましいのですが、着物を商う者として共感できる事が多く、とても勇気づけられもします。
この本は着物の種類や技法、歴史なども詳しく書かれていて、着物のことを深く知りたい方にはお勧めですよ。分かり易い文章だと思います。着物の知識って、今のIT分野みたいに目まぐるしく変わるものではないので、半世紀前の文章でもとても役に立ちます。今の知識と比較しても、「この頃すでにここまで分かっていたのか」とか、「宮崎友禅斉についての認識は今とは違うな」 などの読み方もできて、とてもおもしろいです。
また詳しい感想はいつか書いてみたいと思います。