現代に受け継ぐ武家文化 感想など2
前回の続き
かつて広島城内にあった上田家(広島藩家老)上屋敷が、現在の和風堂に再現されたことが話題になっています。このことから茶道の世界のみならず、大学、美術館などが一体となって「武家文化と茶道、能、源氏物語」や「広島における武家文化」などについて掘り下げて考えようというムードが盛り上がっているそうです。今回のシンポジウムもその一貫ですし、広島県立美術館でも近々武家文化についての特別展があるとのことです。
上屋敷再現について上田宗箇流お家元の公演があったので、印象に残った内容を1つ紹介します。
上屋敷、茶室の再現に当たっては、残っていた図面になるべく忠実に造られたようです。実際に再現してみることで、なぜこのような空間を構成したのか感じることができたとのこと。「復元でもしっかりしたものを作ればちゃんと本質は伝わる。100年途切れていても時代の空白は埋められる。歴史はつながる」と感慨深げに語っておられました。ただ当時の上屋敷を実際に見た人は誰もいないので、全く忠実にというわけにはいきません。このことについて「まったく当時のままを再現しても現代に受け入れられるとは限らない」とも言われました。本質を受け継ぎながら、現代の空間を作ったということなのかもしれません。