久米島紬(国の重要無形文化財)〜沖縄染織り研修〜

 沖縄染織り研修では久米島まで飛びました。沖縄本島から西へ約100km、30分程度のフライトです。ここでは久米島紬事業共同組合「ユイマール館」と泥染めの泥を採取する「阿嘉(あか)のウザ池」などを巡りました。
 久米島紬は国の重要無形文化財指定にされています。その要件は ①糸は紬糸または引き糸であること、②天然染料を使用すること、③絣は手括りであること、 ④手織りであること。ユイマール館ではその一通りの工程が行われています。
展示館ではフクギ、ヤマモモ、ゲットウ、シャリンバイ、グール、など島に自生する植物染めの資料(画像②)に加え、比較的新しい染色方法の「大地染め」の資料もありました。

大地染めは何と!土を染料にしてミョウバン(アルミ媒染)されるそうです。


久米島紬の伝統的な染色として泥染め(泥媒染)があります。奄美大島の泥染めは糸を泥田に持って行って染めますが、久米島は泥を採取して工房で染めます。今では「阿嘉(あか)のウザ池」でしか採取できない貴重な材料です。泥媒染した糸は蒸し器に入れて蒸します。色が更に浸透して赤茶の絣足が生まれるそうです。


糸は琉球王朝時代から黄金色の繭を使っていたそうですが、その「琉球多蚕繭」伝承の為の繭作りも行われていました。

久米島では織り上がった生地を砧打ち(きぬたうち)します。2人で40回+裏返して40回打ちすることで独特の風合いと艶が生まれます。

久米島紬は一人の職人が染色から機織り、砧打ちまで一貫しておこないますが、最後の検査は大変な緊張の時間となります。明るい光を当てて入念にチェックされるため、織っている時には気づかない難も発見されるとか。


 絣付けは手括りだけだと思っていましたが、締め機(しめばた)も使われるとのこと(画像⑦)。ただし、いくら手間が掛かっていても重要無形文化財の要件とは違うので、締め機の場合は重要無形文化財とは言えなくなります。


久米島は平織りだけだと思っていましたが、「組織織」として紋織の反物もありました。
 本を読み込んでも知ることができない、現地に行くことで初めて知る驚きがいくつもありました。産地研修の醍醐味です。

Follow me!