越後染め織り紀行④「高三織物〜くるまや工房〜」小千谷紬
長岡市小国町の「高三織物〜くるまや工房〜」に伺いました。こちらでは小千谷紬をはじめ、栗繭織、ぜんまい織、夏黄八、柿泥染め、本松煙、など表情豊かで希少な織物を織られています。
●木羽定規(こばじょうぎ):小千谷紬は木羽定規を元に柄付けされます。
木羽定規は何十層もの定規(薄い板)を揃えたもの。万力でギュッと圧縮固定してから図案をカーボンで写し取ります。ここには何十年も前からの木羽定規たたくさんストックしてありました。
緯糸(よこいと)を張って、定規1枚(1往復)づつ順番に印づけ(墨うち)し、印に従ってヘラで染料を刷り込みます(実際はヘラと言うよりパイプから染料を押し出す道具でした)。
木羽定規を使う小千谷紬は横総絣(よこそうがすり)で、摺り込みだけで絣付けする場合は、基本的に横糸全て色を埋める必要があります。
小千谷紬は「木羽定規」を使わないと「経済産業省指定の伝統的工芸品」には認定されないそうです。
●柿渋染め:外では和紙に柿渋染めした糸を天日干ししていました。
柿渋(かきしぶ)は媒染(ばいせん)無しでも色が染まりますが、それだけでは色が安定しないそうです。
日中だけ外に干して、夕方ハウスに収める作業を数ヶ月〜半年繰り返すことで色が安定します。また、鉄、アルミ、銅、チタン、などで媒染することもあり、それぞれ色が異なります。柿渋染めによって和紙の強度が増し、防水にもなります。ちなみに科学的な樹脂でも似た効果は得られますが、風合いを損なってしまそうです。
柿渋染めした和紙は帯の経糸または緯糸に使われます。
●柿泥染め:車でこちらに伺う途中、道路がずっと赤茶けてて随分鉄分の多い土地だと感じていましたが、それを生かした染めがされていました。柿渋のタンニンと地下水の鉄分を反応させて糸を黒っぽく染めます(真っ黒にはならない)。最初はドロドロした水を使っていたので「柿泥染め」とネーミングされたのですが、透明の地下水の方が鉄分を多く含むことが分かり、今のような水を使うようになったそうです。
[画像]は柿泥染めの実験:地下水と普通の水道水それぞれに柿渋を混ぜると、地下水の方があっという間に黒くなりました!
●栗繭織 栗の木の葉を食べる野蚕の繭から糸にします。ざっくりと素朴な糸で玉糸(双子の繭)や絹太糸(生糸)などと組み合わせて帯にします。
●夏黄八 高三織物では夏黄八も織っています。駒糸を八丈島に送って、染色したものをこちらで製織するそうです。
※画像はありません😅